白隠禅師の旧宿坊
ここは十返舎十九の『東海道中膝栗毛』に「ぬ(飲)まず食わずではらへった」と出てくる東海道・五十三次のうち十三番目の原の宿。「駿河には過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠」とうたわれているように日本臨済宗中興の祖・白隠禅師ふるさとであります。
長興寺は白隠禅師のお寺・松蔭寺より歩いて5分の位置にあります。一時、火事や高潮で荒廃していましたが、白隠禅師の道友・大義和尚によって再建され、全国各地から集まって来た修行者たちの宿坊として使われました。謡曲「羽衣(はごろも)」の舞台になっている浮島沼(うきしまぬま)や愛鷹山(あしたかやま)の近くです。
裏庭から、かつて茶畑であった処に松蔭寺へと続く一筋の道があります。これが修行者たちが松蔭寺へと参禅に通い、白隠さんが経行(きんひん、散歩)したという通称「白隠道」(はくいんみち)に他なりません。
白隠禅師筆 出山(しゅっさん)の釈迦仏 松蔭寺蔵